【X(Twitter)運用ガイド②】X(Twitter)の運用方針を決める

「X(Twitter)運用ガイド」は、アカウント運用のステップを7つに分け、運用目的からKPI、具体的な戦術まで体系的に学べるコンテンツです。

前回の「運用目的を決める」に続き、今回は「運用方針を決める」について解説します。X(Twitter)の運用方針を明確にすることで、個人や企業のブランドの一貫性を保ち、効果的な情報発信と信頼性の確立につながります。本記事では、具体的な事例を交えながら、目的に合った運用方針の効果的な決め方について解説していきます。

運用方針を決める重要性

X(Twitter)の運用方針を決めることで、ブランド価値を高め、長期的な成功につなげることができます。まずは、運用方針を決める重要性を3つに絞って解説します。

1.ブランドの一貫性を確保する

  • 投稿内容やトーンを統一することで、フォロワーに明確なメッセージを伝えやすくなる。
  • ブランドイメージを強化し、認知度を高める効果がある。

例: 信頼性のあるブランドイメージを高めるには、専門性のある内容に重点を置き、ジョークや軽いノリの投稿を避ける。


2.ターゲット層への適切なアプローチ

  • 方針を決めることで、ターゲット層に合わせた投稿が可能になる。
  • フォロワーのニーズや興味に応じたコンテンツを提供し、エンゲージメントを向上させる。

例: 若年層をターゲットにする場合、トレンドを取り入れた短い投稿や画像を活用する。


3.リソースの効率的な活用

  • 明確なガイドラインがあると、投稿スケジュールやコンテンツ作成が効率化される。
  • チームで運営する場合でも、一貫した運用が可能になる。

運用方針の4つの要素

X(Twitter)の運用方針の要素は以下の4つから構成されます。

  1. 距離感

    • オフィシャル感を重視 
      公式の立場を強調し、信頼性の高い情報発信をメインに据えた運用スタイル。正確性が重視され、丁寧でフォーマルな言葉遣いを採用する。
    • 親近感を重視
      親しみやすい雰囲気で、フォロワーとフレンドリーな関係を築く運用スタイル。フォロワーとの距離を縮めることを目的とし、カジュアルな言葉遣いやユーモアを取り入れる。
  2. 文面のトーン

    • カジュアル・ユーモア重視型 
      砕けた言葉遣いや面白みのある表現を積極的に取り入れ、フォロワーの関心や共感を引きつけるスタイル。特にエンターテインメント業界や消費者向けブランドで効果的。
    • ビジネスライク型 
      フォーマルで専門性の高い文面を使用し、信頼性やプロフェッショナルなイメージを伝えるスタイル。企業向けビジネスや専門的な情報発信に適している。
  3. 「中の人」の投稿

    ※中の人:ブランドや企業、組織の公式アカウントを運営している担当者やスタッフ

    • 「中の人」の投稿をしない
      組織やブランドとして発信することを優先し、担当者の個性を出さないスタイル。投稿は中立的かつ公式なものになり、ブランドイメージを重視する。
    • 「中の人」の投稿をする 
      担当者の視点や個性を投稿に反映させることで、親近感や人間味を演出するスタイル。特にフォロワーとの双方向のコミュニケーションを重視する場合に効果的。
  4. 投稿内容の種類

    • 新たな取り組みやプロジェクトの発信
      商品・サービスのリリース、イベント情報、社内プロジェクトなど、新しい情報を積極的に発信し、認知度の拡大を目指すスタイル。ブランドや組織の成長をアピールできる。
    • 競合他社との関わりやトレンドの発信
      他社アカウントに対し積極的に返信したり、業界全体のトレンドや話題を取り上げることで、関心を引きつけるスタイル。ユーモアを取り入れて、フォロワーとのエンゲージメントを強化することが可能となる。

目的に応じた運用方針〜事例紹介〜

これまでに説明した「運用方針の4つの要素」を基に、自社の目的に応じた運用方針を決定しましょう。

なお、以下の事例は参考例です。自社に合った4つの要素を組み合わせることで、より効果的なアカウント運用が可能になります。

1. 自社やサービスの認知拡大

事例:Tabio 靴下屋

  1. 距離感:親近感を重視し、語りかけるような口調で投稿
  2. 文面のトーン:カジュアルなトーン
  3. 中の人:中の人の投稿を発信し、プライベートでの自社商品の活用方法を投稿
  4. 投稿内容の種類:商品の紹介やイベント情報の発信

Tabioの事例では、親近感のある距離感とカジュアルなトーンを活かし、中の人視点の投稿でユーザーとの繋がりを深めています。商品の紹介やイベント情報を発信しながら、プライベートな活用例も共有することで、ブランドへの共感と認知を拡大しています。親しみやすいコミュニケーションが成功の鍵となっています。

2. 顧客とのコミュニケーション強化

事例:わかさ生活 広報部

  1. 距離感:親しみやすい距離感で、共感を引き出す投稿
  2. 文面のトーン:カジュアルなトーン
  3. 中の人:中の人投稿をせず、広報部としての投稿がメイン
  4. 投稿内容の種類:ユーモアのある投稿をベースに、ブルーベリーの栄養情報や他社とのコラボレーション投稿も展開

わかさ生活の事例では、親近感とユーモアのあるカジュアルなトーンで投稿を展開しています。広報部として発信し、中の人の投稿は採用せず、ブルーベリーの栄養情報や他社とのコラボレーションなど、多様なコンテンツを提供しています。このような共感を誘うコミュニケーションスタイルと豊富なコンテンツにより、ブランドの魅力を効果的に伝え、ユーザーとの積極的な交流を通じてエンゲージメントを高めています。

3. ブランドイメージの向上

事例:富士通株式会社(Fujitsu Limited)公式

  1. 距離感:オフィシャル感を重視し、企業公式として投稿
  2. 文面のトーン:ビジネスライクなトーン
  3. 中の人:中の人の投稿をせず、企業イメージを担保
  4. 投稿内容の種類:自社の新しい情報を積極的に発信し、ブランドイメージの向上を目的とした投稿が多い
富士通の事例では、企業公式としてのオフィシャル感を重視し、ビジネスライクなトーンで投稿を展開しています。中の人の投稿を控え、自社の様々な取り組みや最新情報を積極的に発信することで、信頼性とブランドイメージの向上を図っています。堅実でプロフェッショナルな運用スタイルが特徴です。

4. フィードバック収集

事例:森田アルミ工業株式会社【公式】

  1. 距離感:オフィシャル感を重視し、企業公式として投稿
  2. 文面のトーン:ビジネスライクなトーン
  3. 中の人:中の人の投稿をせず、企業イメージを担保
  4. 投稿内容の種類:自社の新しい商品や取り組みを発信に加えて、アンケートやアクティブサポートも実施

森田アルミ工業の事例では、企業公式としてオフィシャル感を重視し、ビジネスライクなトーンで発信を行っています。新商品や取り組みの情報発信に加え、アンケートやアクティブサポートを通じてユーザーからのフィードバックを収集しています。信頼感を保ちながら、顧客との双方向のコミュニケーションを推進している運用スタイルが特徴です。

まとめ

これらの事例を参考にしながら、自社の特性に合った運用方針を決定しましょう。

X(Twitter)の運用方針を明確にすることで、ブランドの一貫性を維持しつつ、効果的な情報発信が実現できます。運用方針の重要な4つの要素として、ユーザーとの距離感、文面のトーン、中の人の投稿有無、投稿内容の種類があります。これらを目的に合わせて適切に設定することが、成功への近道となります。

次回の「X(Twitter)運用ガイド」では、方針設定後の次のステップとなる「定量目標(KPI)を立てる」について解説します。具体的な事例を交えながら、目的に応じた適切なKPIの設定方法を学び、より効果的な運用を目指しましょう。